1年前の話しですが当時2歳になった息子。言葉の数は順調に増え、一生懸命何かを伝えようとおしゃべりをしてくれます。でも、その言葉は、家族以外にはなかなか伝わりにくい話し方でした。一番身近な私でさえ、首をかしげてしまうことがあるほど、発音が不明瞭だったのです。
市の健診では特に指摘されず「健常」と判断されていたのに、通院していた耳鼻科の先生に突然こう言われたのです。
「少し言葉が遅いですね。発音が気になります」
その瞬間、心にズシンと重いものがのしかかりました。「このままでいいの?」「何か特別なトレーニングが必要?」と、頭の中は不安でいっぱいになりました。
この記事では、かつての私のように、2歳で言葉が遅れているかもしれないと感じているお母さんに向けて、保育士としての経験や知識も踏まえながら、私が家庭で実践したことを具体的にお伝えします。
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子育てが「ツラい」と感じていませんか?あなたのそのツラさ、知識をつけることで軽減することができます。

目次
言葉の爆発期!息子の言葉はまるで宇宙人?単語は聞き取れるけど、続く言葉が不明瞭

2歳を迎えた息子は、まさに「言葉の爆発期」まっただ中でした。「ママ」「ブーブー」「いた!」と、日々どんどん新しい単語を覚えては披露してくれます。でも、その後に続く言葉が…まるで宇宙語に聞こえます。
「おしゃかな、たべゆ!▽◇〇☆…」
「とぅうま、いったー!■△◎♪…」
家族は慣れているので何となく翻訳できますが、初めて聞く人にはまったく意味不明な言葉に聞こえていたでしょう。首をかしげられるたび、息子は「違う!」と全力で主張し、時には悲しそうな表情を見せることもありました。
そんなある日、耳鼻科を受診した際、先生からこう言われました。
「ちょっと言葉が聞き取りにくいですね。うちの施設に『ことばの教室』がありますが、検討してみませんか?」
あわせて成長発達段階のチェックリストも渡され、やってみるとほぼ全てに〇。発達としては順調そのものでした。それでも「何を言っているのか分からないことがある」という現状は変わらず、私の心にはモヤモヤが残りました。
「言葉のトレーニング今すぐするべきなのかな…」
こういうことは早いうちに始めるべきということも分かっていましたが、ただ一旦冷静になってどうするべきなのかを考えることにしました。そして私は決断し、次の行動に移りました。
子育てが「ツラい」と感じていませんか?あなたのそのツラさ、知識をつけることで軽減することができます。

【実践したこと①】保育園の先生と個別相談。家庭以外の息子の姿を知る

まず頼ったのは、保育園の担任の先生でした。保育園の先生は、日常的にたくさんの子どもの発達を見ている“発達観察のプロ”であり、息子と毎日関わってくれている一番身近な専門家です。
面談の日、私は正直に耳鼻科の先生に指摘されたこと、確かに言葉が聞き取りにくくて心配だということを打ち明けました。先生は少しうなずきながら、園での息子の様子を丁寧に教えてくれました。保育園の先生が知らせてくれた内容は以下の通りです。
- 確かに園でも聞き取りづらいときはある
- お友達とのやりとりでうまく伝わらず、やきもきしている場面もある
- しかし単語は聞き取れるし、本人は一生懸命伝えようとする意欲が感じられる
私からは見えない園での姿を知り、「あぁ、息子なりに一生懸命やっているんだ」と少し安心しました。保護者だけで抱え込むと不安は膨らむ一方ですが、第三者の視点をもらうことで冷静になれます。息子と関わる周りの人の視点を知ることで客観視することができました。
子育てが「ツラい」と感じていませんか?あなたのそのツラさ、知識をつけることで軽減することができます。

【実践したこと②】これまでの保育士経験と知識を引き出して息子の「今」分析する

園での様子を聞いたあと、「今の息子の発音は発達的にどういう段階なんだろう?」と、これまでの自分の保育士経験と知識を引っ張り出して考えてみました。
子どもが小さいうちって口の中の筋肉や舌の動きがまだ発達途中なんですよね。言葉は、大人の話し方を真似して覚えていきますが、そのとき子どもは口の形や舌の動きをよく観察しています。
これはあくまで憶測ですが、息子が育っていた時期はちょうどコロナ禍でした。日常的に周りの大人がマスクをして過ごす環境だったため、大人の口の動きをじっくり見る機会が少なかったことも、発音に影響していたのかもしれません。
さらに、脳の発達には男の子・女の子によっても違うし、個人差などもあり、そのスピードの違いが言葉の発達にも影響します。そう考えると息子は今まさに“言葉の勉強中”で、新しい単語をどんどん吸収している時期です。発音はまだ練習途中なので、聞き取る側として不明瞭に感じても自然なことです。
これまで保育園で見てきた子どもたちも、年齢とともに発音はクリアになっている姿も見てきているので、こうした経験や知識を踏まえると、息子も今は成長のプロセスにあると冷静に受け止めることができました。
子育てが「ツラい」と感じていませんか?あなたのそのツラさ、知識をつけることで軽減することができます。

【実践したこと③】「最高の言語環境は私」。家庭での関わりと環境を徹底的に見直す

保育園の先生からの話を聞き、自分なりに発達の知識を整理したうえで、家庭でできることを見直しました。そこで私が目指すことにした目標は、息子が「話すのって楽しい!」と感じる時間を増やすこと。楽しい経験が自信になり、もっと話したくなるきっかけになると考えたからです。
そのために意識したのが、会話をするときに必ず子どもの顔を見て話すこと。目線を合わせることで「ちゃんと聞いてもらえている」という安心感が生まれ、会話への意欲が高まるからです。さらに、読み聞かせや会話のときははっきりとした口の動きと抑揚をつけて話すことも心がけました。
息子が言葉を間違えても否定せず、「たかな」と言ったら「ほんとだ!さかなだね」とオウム返しで自然に正しい音を返す。このやり方ならプレッシャーを与えず、さりげない形で発音の学びにもつながります。
また、テレビや動画の時間を少し減らすようにし、その分、親子で会話をしながら何かをする時間を増やしました。一緒にお絵かきをして色や形の名前を話したり、公園に行って虫や花を見つけては「大きい虫だね」「ピンクのお花きれいだね」と感じたことを共有する。こうした何気ない会話の積み重ねが、言葉の練習と発音の刺激になっていきました。
こうして関わり方と環境を整えた結果、息子は少しずつ自信を持って話すようになり、スローテンポではありますが発音がはっきり言えるようになって、会話のキャッチボールも増えていきました。
子育てが「ツラい」と感じていませんか?あなたのそのツラさ、知識をつけることで軽減することができます。

不安を行動に変えた先にあった息子の成長と私の信じたもの

私が「聞き取る努力」を始めると、息子の表情は少しずつ明るくなりました。言葉が伝わったときの嬉しそうな笑顔や、自分から話そうとする姿が増え、会話がどんどん楽しいものになっていきました。そして3歳になった今では、自然と発音が明瞭になり、日常会話もスムーズになりました。無理に直そうとしなくても、成長の中で変わっていくのだと実感しました。
この経験から学んだのは、2歳で言葉の遅れを指摘されたとしても一度冷静になる事。「治す」よりまず「受け止める」ことの大切さでした。安心して話せる環境があることで、子どもは自信を持ち、言葉の成長が自然と促されます。
ちなみに、息子が耳鼻科に通っていた理由は中耳炎の治療でもあり、耳の聞こえに影響があると発音にも関わるため、通院してしっかり治すことも大切なサポートの一つになりました。
正直なところ、最初は専門家からの指摘で「このまま自然に任せていいのだろうか」と葛藤もありました。けれど、日々そばで成長を見守る自分自身や、保育園の先生からの言葉・感じ取った様子を信じられたことで、「この子はこの子のペースで伸びていく」と思えるようになりました。
そして何より、今こうして息子が笑顔で会話を楽しみながら過ごせていること、それこそが一番良かったことだと心から感じています。
私が息子2歳から3歳までの1年間、意識したことや気を付けたことは以下の通りです。
息子2歳半の頃:ママが普段の会話の中で口の動きや言葉をハキハキ話す
息子の周りの環境として一番の環境は私なので、話す時に口の動きや発音をはっきり伝えることを意識して息子と話し、絵本の読み聞かせをしました。子どもって本当に観察力の天才と思っていた通り、息子も口の動きを見て、耳で言葉を聞いてくれたようで、1ヶ月後には単語がはっきり言えるようになり、2、3カ月をかけて少しずつ「〇〇君と△△であそんだよ」「たのしかったの」など、時折聞き取れない時もありますが、会話も聞き取りやすくなってきました。
息子3歳の頃:家族だけではなく、沢山の人と会話を楽しむ
これは3歳からという訳ではなく以前からではありますが、息子の会話する環境が家族や保育園だけではなく、生活を取り巻くもの全てと分け隔てなく会話を楽しめるようにしていました。
特別なことをするとかではなく、例えばスーパーでレジに来た際、店員さんに「おねがいします」と声をかけたり、美容院に行った際、美容師さんとのやり取りを楽しむなど積極的に色んな人とやりとりを楽しみました。
元々息子は人と関わることが好きなこともあり、沢山言葉も覚えて「そんなことしたら警察につかまえられちゃうよ」などたまに大人もハッとすることも言うようになりました。「おまわりさんじゃなくて”警察”なんだ…」と私もハッとしました(笑)
息子3歳半頃:ほぼほぼ言葉は聞き取れるようになり、心配もなくなった
今では以前のような宇宙語はほぼなくなり、スムーズに会話もできるようになりました。今ではますます深い言葉も言うようになり、「大人になったらママのお仕事お手伝いして助けてあげるよ」、「お肉と野菜とご飯をい~っぱい食べてパパみたいに大きくなるんだよ」と嬉しいこともたくさん話してくれるようになりました。
信じて見守ることと、時には周りの声に耳を傾けて必要に応じて働きかけること。その両方の選択肢を持ちながら、適切な配慮ができる親でありたいと思います。これはあくまで私の経験ですが、この体験が同じように悩むママやパパの安心と前向きな一歩につながれば嬉しいです。
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この記事を書いた人

ゆい(3歳男の子、2歳女の子)
元保育士(保育歴17年)→起業家ママ
2、3歳の年子ママ。保育士時代は1200人以上の子どもたちと携わる。2人目の妊娠をきっかけに起業し、現在130人以上の働き方に悩むママたちと向き合う。自分のビジネスも現在進行形で展開中。仕事のモットーは「気持ちにまっすぐ」「頑張らないように頑張る」