Column コラム

「理由を聞いてもわからない」小学生の不登校|原因探しより大切な“3つの声かけ”

「学校に行きたくない」と子どもに言われ、理由を聞いても「わからない」と返ってくる。そんな経験はありませんか?

文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は35万3970人と12年連続で過去最多を更新し、そのうち小学生は13万7704人にのぼります。

原因を一つに絞れないケースも多く、実は子ども自身にも「なぜ嫌なのか」がわからないことは珍しくありません。

この記事では、原因探しにとらわれず、不登校の小学生に寄り添うための行動サインの見つけ方と、親の声かけの工夫を、我が家の実体験も交えてご紹介します。

「どうして?」と聞いても答えてくれない|不登校の原因は本人にもわからないことがある

「どうして?」と聞いても答えてくれない|不登校の原因は本人にもわからないことがある

登校を渋る子どもに「どうして?」と聞いても、「わからない」「言いたくない」と返答されることが多いと思います。

わからない、と言われると「それじゃあママがどうしたらいいかわからないよ」と落胆してしまいますが、実は「子どもにもわからない」ことが多いのです。

なぜわからないことが多いのか、理由を学年ごとにまとめてみました。

不登校の原因で一番多いのは「不安・無気力」

文部科学省の調査では、小・中学生の不登校について、本人や学校が把握した要因として「不安」「無気力」などが挙げられています。

もちろん、子どもによって背景は異なります。

「勉強についていけない」
「友だちとの関係がうまくいかない」
「先生との関係に悩んでいる」
「学校の環境が合わない」

など、具体的なきっかけがある場合もあります。

一方で、いくつもの小さな不安や疲れが積み重なり、本人にも「これが原因」と一つに絞れないこともあります。

「授業でわからないことが増えた」
「朝起きるのがつらい日が続いた」
「教室の雰囲気がなんとなく苦手」

そんな小さな負担が積み重なった結果、「学校に行きたくない」という状態として表れることもあります。

そのため、親が「原因は何?」と一つの答えを求めても、子ども自身が答えられないことがあるのです。

そして、ここで注意したいのが、「本人から原因を聞き出せば、不登校が解決する」と考えすぎないことです。

原因を知りたいという親の気持ちは自然なものですが、子どもが話せない状態のときに何度も「どうして?」「何があったの?」と聞かれると、子どもにとってはそれ自体がプレッシャーになってしまうことがあります。

「わからないって言っているのに……」
「ちゃんと説明しないといけないのかな」

そんな気持ちになって、さらに自分の中へ閉じこもってしまうこともあります。

だからこそ、「原因を探す」よりも、「今、この子はどんな状態なのか」を見ることが大切なのです。

低学年の場合|「理由を説明して」と言われても、自分の気持ちを言葉にできない

低学年の小学生では、そもそも自分の気持ちや状況を整理して、言葉で説明することがまだ難しい場合があります。

大人なら、「クラスで友達との関係がうまくいかなくて、学校に行くのが嫌になった」と説明できることでも、子どもにとっては、

「なんとなく嫌」
「学校に行きたくない」

としか表現できないことがあります。

低学年の子どもが「わからない」と答えるとき、そこには次のような背景が隠れている可能性があります。

  • 自分の気持ちを言葉にするのが難しい
  • 何が嫌なのか、自分でも整理できていない
  • 「話してもわかってもらえないかも」という不安がある
  • 以前話したときに否定された経験がある
  • いじめや友達関係など、親に話すことへの恐怖がある
  • 母子分離への不安がある
  • クラス替えや担任変更など、環境の変化に戸惑っている

特に低学年では、「学校が嫌」という一言の中に、複数の気持ちが混ざっていることがあります。

たとえば、

「授業がわからない」
→「先生に当てられるのが怖い」
→「失敗したら恥ずかしい」
→「教室に行きたくない」

というように、本人が「勉強が原因」と自覚していなくても、いくつかの不安がつながっていることもあります。

だから、「何が嫌なの?」と答えを求めるだけではなく、

「朝になると特に嫌がるのかな?」
「学校の話をすると表情が変わるかな?」
「教室の話だけ嫌がるのかな?」

と、普段の様子からヒントを探してみることも大切です。

高学年の場合|理由を親に知られたくない気持ちが大きい

高学年になると思春期に入り、心身の変化が大きくなるだけでなく、友達関係も低学年のころとは比べものにならないほど複雑になっていきます。

  • 思春期による心身の変化
  • 複雑な友人関係
  • 周囲からどう見られているかという不安
  • 勉強や成績へのプレッシャー
  • 失敗することや否定されることへの恐れ
  • 親には知られたくない悩み

こうしたことが重なっている可能性もあります。

特に高学年になると、子どもの中に少しずつ「自分だけの世界」ができていきます。

友達との関係や学校での出来事について、

「ママには知られたくない」
「自分で解決したい」
「恥ずかしくて言えない」

と思うことも増え、低学年のころなら話してくれたことでも、高学年になると話してくれなくなることがあります。

親からすると、

「昔は何でも話してくれたのに……」
「どうして何も教えてくれないの?」

と戸惑ってしまいますよね。

でも、それは必ずしも「親を信頼していない」ということではなく、子どもが成長し、自分の内側にあるものを自分で守ろうとするようになった結果でもあります。

また、過去に「もう高学年なんだから、しっかりしなさい」「それくらい自分でできるでしょう」と言われた経験がある子どもは、

「高学年なんだから弱音を吐いちゃいけない」
「こんなことで悩んでいると言ったら、怒られるかもしれない」

と、自分の気持ちを押し込めてしまうこともあります。

だからこそ、高学年の子どもに対しては、「理由を話してもらうこと」だけを目標にしないことが大切です。

今すぐ答えが出なくても、

「今は話さなくても大丈夫だよ」
「いつでも待っているよ」

と伝えておく。

それだけでも、子どもにとっては「自分の気持ちを否定されない」という安心につながります。

「理由はわからないけど、様子がおかしい…」不登校で見逃したくない小学生の行動サイン

「理由はわからないけど、様子がおかしい…」不登校で見逃したくない小学生の行動サイン

学校に行きたくない理由を聞いても、本人は『わからない』と言う。どうしたらいいの?

そんなときは、子どもの言葉だけでなく、普段の行動にも目を向けてみましょう。

子ども自身が「つらい」「不安」と言葉にできなくても、行動や体調の変化としてサインが出ていることがあります。

親が意外と見落としがちですが、「実はSOSを出しているかもしれない」「実際に私の長女にも表れていた」サインを6つご紹介します。

1.腹痛・頭痛などの身体症状が出る

「昨日までは元気だったのに、朝になると急に『お腹が痛い』と言い出す……」ということはありませんか?

ちなみに私の長女が登校を渋るとき、たいてい腹痛から始まっていました。

もちろん病気など身体的な原因も考えられますが、学校へ行く時間が近づくと症状が出る場合は、不安や緊張が身体に表れている可能性もあります。

「また休むの?」と焦ってしまいがちですが、まずは「痛いんだね。つらいね」と受け止めてあげましょう。

身体の不調は、子どもからの「今はしんどい」というサインなのかもしれません。

2.学校の話をすると無口・不機嫌になる

さっきまで普通に話していたのに、「明日は学校だね」と言った途端、黙り込んだり、イライラしたりすることがあります。

「なんで急に怒るの?」と思ってしまいますが、実は学校のことを考えるだけで不安や緊張が強くなっている可能性があります。

特に、何が嫌なのか本人にも説明できない場合、「学校」という言葉そのものに反応していることもあります。

不機嫌な態度の裏に、「うまく言えないけれど、考えたくない」という気持ちが隠れていないか、少しだけ様子を見てみましょう。

3.「明日は学校?」と何度も確認する

「明日は学校?」「何時に行くの?」「給食ある?」など、不安そうに翌日の予定を何度も確認することがあります。

親からすると「さっきも教えたのに」と思ってしまいますが、何度も確認することで、先の見えない不安を少しでも減らそうとしている可能性があります。

そんなときは、「何回聞くの?」と叱るより、予定を紙やホワイトボードなどで見えるようにしてあげるのも一つの方法です。

何度も確認する行動を「しつこい」と捉えるのではなく、「安心したいのかもしれない」と見方を変えてみましょう。

4.以前よりイライラしたり、泣いたりすることが増えた

以前なら気にしなかったようなことで怒ったり、突然泣き出したりすると、「最近、わがままになったのかな?」と感じることもありますよね。

でも、子どもは大人のように「学校で頑張りすぎて疲れた」「友達との関係がしんどい」と、自分の状態をうまく説明できるとは限りません。

言葉にできないストレスや不安が、イライラや涙として出ていることもあります。実際に私の長女も登校拒否の前兆として、癇癪が増えたり、些細なことで八つ当たりすることがありました。

「怒らないの!」と行動だけを止める前に、「何か頑張りすぎていないかな?」と、その裏側にある気持ちを考えてみることが大切です。

5.ランドセルや制服など、学校に関係するものを嫌がる

「学校に行って」と言っていないのに、ランドセルを見るだけで嫌がったり、制服を着ようとすると泣いたりすることがあります。

「明日学校なんだから準備しなさい」と何とか動かそうとしてしまいますが、学校に関係するものが不安や嫌な記憶を思い出させている可能性もあります。

私の長女の場合は重症で、ランドセルや着替えは拒否し、さらにはほぼ関係のない次女の保育園の話題すら「聞きたくない」と嫌がって泣くほどでした。

もちろん、これだけで不登校の原因を判断することはできませんが、判断材料の一つにはなります。

ただ、学校そのものだけでなく、「学校を連想させるもの」にまで反応しているのであれば、子どもの負担がかなり大きくなっていないか、一度立ち止まって考えてみましょう。

6.スマホやゲームの時間が長くなった

相談相手がいなかったり、現実と向き合いたくない子どもにとって、スマホやゲームは「不安から離れられる居場所」になっていることがあります。

時間の長さだけを問題視するのではなく、「この子は今、ネットやゲームに安心を求めているのかもしれない」という視点を持つことが大切です。

ただし、睡眠や食事に影響が出るほどであれば、生活リズムの乱れが無気力につながらないよう、利用ルールの見直しも必要です。

ちなみに我が家では、学校を休む日にゲームにのめり込みがちな長女のために、こんなルールを作っています。

  • 宿題・勉強を20〜30分やってからゲームOK
  • タイマーを設定し、1時間経過したら休憩をとる
  • 無理のない範囲で外出の機会をつくる(ドライブ、人目を避けて隣の市に出かけるなど)
  • ゲーム以外に夢中になれること探す(長女の場合は料理やお菓子作り)

「1日1時間まで」のようなルールは、暇な時間が生まれてまたゲームに戻るだけなので、我が家ではやめました。

一番注意したいのは、身近な大人ではなく、ネットの匿名の相手に相談してしまうことです。

良い助言をくれる人ばかりとは限りません。善悪の判断がまだ未熟な子どもは騙されやすいため、特に高学年のお子さんは様子を注意深く見てあげてください。

【NG例あり】どう声をかければいい?不登校の小学生を追い詰めない親の声かけ3つ

【NG例あり】どう声をかければいい?不登校の小学生を追い詰めない親の声かけ3つ

「学校に行きたくない」と突然言われて、「どうして?」「何があったの?」と理由を知りたくなるのは親なら当然です。

でも、そんなときこそ大切なのは、すぐに解決しようとすることではなく、まず子どもの気持ちを受け止めることです。

親がよくやりがちなNG例を紹介しながら、登校を渋り不安でいっぱいの子どもにどう声かけしていくのがいいのかについてまとめました。

1.「小学校行きたくない」には否定・疑問ではなく【肯定】する

「なんで行きたくないの?」
「熱もないんだし、ちゃんと学校行きなさい」

心配だからこそ、ついこんな言葉が出てしまうことがあります。

でも子どもからすると、勇気を出して「行きたくない」と伝えたのに否定されたように感じ、さらに気持ちを閉じてしまうことがあります。

まずは、「そっか、今日は行きたくないんだね」と、学校に行きたくないという気持ちそのものを受け止めるところから始めてみましょう。

2.「言いたくない」には「教えて」ではなく【共感】する

「言ってくれなきゃわからないよ」
「つらいだけじゃ、どうしたらいいかわからないよ」

子どもが理由を話してくれないと、親も不安になりますよね。

でも、本人にも理由が整理できていなかったり、話すことへの不安や恥ずかしさがあったりして、うまく説明できないことがあります。

そんなときは、

「そっか、言いたくないんだね」
「無理して話さなくても大丈夫だよ」

と伝えてみましょう。無理に聞き出すことはかえって子どもの不安を大きくします。

担任の先生やスクールカウンセラーなど第三者から様子を聞く方法もありますので、ここはグッと堪えて様子を見ましょう。

3.「明日は行けそう?」と聞く前に、焦りや不安を受け止める

「明日は行けそう?」
「学校に行きたいと思ったら教えて」

親としては、先の見通しがほしくて聞いてしまいがちですが、これもNGの声かけです。

でも、子ども自身も明日どうなるかわからないとき、「早く学校に行かなくちゃ」とプレッシャーを感じてしまうことがあります。

そんなときは、「明日のことは今決めなくても大丈夫だよ」と伝え、まず今日の気持ちや体調に目を向けてみましょう。

【実話】登校拒否を起こす発達障害長女へ実践している声かけ

私の長女は現在小学1年生で、特別支援学級に在籍しています。

普段は楽しく学校に通えていますが、保育園時代から登校を渋ることがあり、今でも時々「学校に行きたくない」と言うことがあります。

長女の場合は、「できないかもしれない」という不安や、自分に自信が持てないことが、行き渋りにつながっていると感じています。

そんな長女に私が意識しているのが、

毎日頑張っているのを、ママはいつも見ているよ。
昨日よりできたんだから、大丈夫。あなたならできる!

という声かけです。ちなみにほぼ毎日声かけをしているからか、最近はやる気がみなぎっていて、ママが声をかけなくても、自分から登校の準備をするようになるまで、たくましく成長しました。

ただ「あなたなら大丈夫!」と言うだけではなく、「昨日はできなかった○○が今日はできたね」のように、本人が納得できる具体的な根拠と一緒に伝えることを大切にしています。

子どもの「大丈夫」を作るのは、根拠のない励ましではなく、「自分は少しずつできるようになっている」と本人が気づける経験なのだと思います。

長期化する登校拒否には“第三の場所”をつくることも視野に入れて

不登校が長く続くと、「このまま学校に行けなかったらどうしよう」と子どものことが心配になるだけでなく、「私の育て方が悪かったのかな」と自分を責めてしまうママもいるかもしれません。

でも、学校に行けない時期があるからといって、子どもがダメなわけでも、親がダメなわけでもありません。

そんなときは、学校や家庭とは別に、子どもが安心して過ごせる“第三の場所”をつくることも選択肢のひとつです。

好きなことを続けたり、誰かに否定されることなく「自分らしく」過ごしたりできる場所があれば、「学校に行けない自分」ではなく、「好きなことを楽しめる自分」「できることがある自分」に目を向けるきっかけになるかもしれません。

そして、居場所が必要なのは子どもだけではありません。

子どもの不登校に悩むママも、「どうすればいいの?」「このままで大丈夫?」と一人で抱え込んでしまいがちです。だからこそ、子どもにも親にも「ひとりじゃない」と思える場所が大切なのではないでしょうか。

「学校に行かせなきゃ」と頑張り続けるのではなく、今の親子に必要な居場所やつながりを探してみる。

それも、不登校の子どもを支える方法のひとつです。

NPO法人ぴこはなでは、親子の孤立を防ぎ、安心できる居場所や学び・体験の機会を届ける活動を行っています▼

「子どもが安心して過ごせる場所を知りたい」「家族だけで抱えるのが少し苦しくなってきた」そんなときは、一人で答えを出そうとせず、誰かとつながることから始めてみてください。

「ひとりじゃない」と思えることが、親子にとって新しい一歩になるかもしれません。

まとめ

「どうして学校に行きたくないの?」と原因を追い求めるより、まずは「今、この子はどんな気持ちでいるのか」に目を向けることが、不登校の小学生と向き合う第一歩です。

腹痛やイライラ、確認行動といった小さなサインに気づき、否定せずに気持ちを受け止める声かけを重ねていくことで、子どもは少しずつ安心を取り戻していきます。

すぐに答えが出なくても焦らなくて大丈夫。学校以外にも安心できる居場所を探しながら、子どもにも親にも「ひとりじゃない」と思える環境を、少しずつ整えていきましょう。

#不登校 #小学生 #理由がわからない

この記事を書いた人

みゆき(6歳長女&2歳次女のママ)
フリーランス/埼玉県在住
発達障害と気難しい性格を持つ長女の育児に悩んでいたところsunnysmile協会に出会う。
子育てコーチング講座で適切な声掛けと関わり方を学ぶことで、親子の絆を深め、家族の笑顔を増やすことに成功